隈研吾

金閣は義満の時代、幕府に力があり、高度成長の時代、権力者が造った。 それに対し数10年しか隔ててないにもかかわらず、すとんと時代(空気)が変る。 義政の時代はバブル崩壊後の日本のような時代。 悪条件の中、美学で反転するような生き方がデザインにあるのではないか。 銀閣の全体のレイアウトでおもしろいのは、例えば2階からの視点、その上にあったといわれる草庵からの視点とかいくつかの視点があり、それらの視点から感じられる世界が立体的に重ねあわされている。 胎蔵界曼荼羅、母胎の胎、母なる宇宙に抱え込まれるみたいな感じが全体の地形にある。 義政は地形の読み方や宇宙の読み方に関して長けたデザイナーだった。